わらいき オリジナル台本

グリム童話「おおかみと七ひきのこやぎ」   作:HIROMI

 

<キャスト>

 遠いところに働きに入っている父の分も子供たちに愛情たっぷり育てる優しい母

 

長女ラミー 

 しっかり者第二のお母さん的存在

 

長男ブルー 

 やんちゃグループリーダー

 

次女ラム  

 ラミーに憧れやんちゃな兄を監視している

 

次男ドナ  

 元気な男の子いつも楽しいことを探している

 

三男オルリー

 ドナー童謡好奇心旺盛

 

四男ルーク 

 食いしん坊元気な男の子

 

三女フツ  

 のんびり屋マイペース

 

 

ナレーション

 

 

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ナレ

昔々あるところに、優しいお母さんと七匹の子ヤギが住んでいました。

七匹は上から、

しっかり者のラミー、

やんちゃなお兄さんのブルー、しっかり者の姉に憧れるラム、

好奇心旺盛のドナとオルリー、

食いしん坊のルーク、

そしてのんびり屋のフツの七匹の子ヤギを相手に、お母さんは毎日大忙し。ある日のこと、

 

みんな~、お話があるから集まって頂戴

 

ラミー

なあに、お母さん。今、弟たちのお遊びの相手をしているのよ

 

あぁ、ラミー。大事なお話があるからみんなを集めて頂戴

 

ラミー  

はいお母さん。みんな~、お遊び中断してリビングに集まって~

 

ブルー  

(ブーブー)これから楽しくなるところだったのに~

 

ドナ   

まだまだ遊んでいたかったのに

 

オルリー

なーにお母さん

 

フツ   

おやつの時間?

 

ルーク  

おやつ!今日のおやつはなーに?レタス?それともキャベツ?

 

母    

まあまあ、あなた達。おやつにはまだ早いでしょ。それにルークはいつも食べすぎよ。

それより大事なお話があるの。これからお母さんは隣町までお使いに行かないといけないの。

 

ドナ・オルリー・ルーク 

へえ~、おつかい。

 

ラム   

おつかいならいつも行ってるじゃない

 

母    

ええ、そうよ。でもね最近この辺りを狼がうろついているという噂を耳にしてね。

あなたたちを置いて出かけるのがとっても心配なの。

狼はいつもお腹を空かせてうろついているの。

もしもあなた達が狼のターゲットになったらと思うと・・・

お母さん心配で心配で。

でも隣町までは山を越えないといけない。あなた達の足ではとても・・・

 

ラミー 

そんなことなら大丈夫よ。

 

ラム

狼が来てもドアを開けなければ良いのだから。

 

ドナ・オルリー

そうだよ。

 

ルーク

狼が来たら僕のキックで追い払うよ。

 

ブルー

お前のキック_狼には効果ないよ。

 

ルーク

そんなことないよ。いつもクマのおじさんに鍛えてもらっているのだから。

 

ラム

熊のおじさんは優しいから手を抜いているのよ。

しかもくまのおじさんに鍛えてもらっているなんて言うけど、

いつもふたりで蜂蜜食べているだけじゃない。

 

みんな

ぎゃははははー

 

ラミー

お母さん、私が妹たちを見ているから行ってきて。

 

そう?本当に大丈夫?

 

ラミー

うん

 

じゃあくれぐれも狼には気をつけてね。

決してドアを開けてはいけないよ。お母さんが帰ってくるまでドアは開けないでね。

 

みんな

行ってらっしゃい。

 

ドア閉まる

 

ブルー

さあ、お母さんいないから何して遊ぶ?

 

ドナ

ゲームしたいな。

 

オルリー

いーねー。

 

ルーク

こっそり何か食べようよ。

 

ブルー

鬼ごっこは?

 

ドナ

鬼ごっこは家の中じゃ狭いよ。

 

オルリー

じゃあお庭に出てやろうよ。

 

ルーク

そうだね。

 

ラミー

コラコラ。お母さんに言われたことをもう忘れたの?

狼がうろついているから危険だって。外遊びは禁止よ。

 

ラム・ラミー

禁止よー

 

三人

はーい

 

フツ

じゃあお姉ちゃま、フツとおままごとしましょ

 

ラミー

そうね、家の中でできる遊びをしましょ

 

ラム

私もやる

 

みんな

わいわい

 

男の子たち

じゃあ人生ゲームでもしようぜ

 

ナレ

そんな賑やかな会話を窓の外で聞いているのは狼でした

 

オオカミ

ほほう、これはこれはうまそうな子ヤギが、ひーふーみーよー、

ほー七匹もいるぞ。

これはご馳走だ。しかも母親が不在。今日のランチはこれで決まりだ。

トントン

 

ラミー

あれ?誰か来た?

 

ブルー

お母さんかな?

 

フツ

お母さん?

 

ラム

もう帰ってきたの?

 

ドナ

わーい、お母さーん

 

オルリー

お土産何かな?

 

ルーク

お腹空いたー

 

ラミー

待って。お母さんかどうか確認してからよ

 

オオカミ

ただいま、ママだよ

 

ブルー

お母さんはそんな低いオカマ声じゃないよ

 

ドナ

しかも「ママだよ」なんて言わない

 

オルリー

お母さんじゃないな

 

フツ

オオカミ?

 

ラム

オオカミだー

 

みんな

帰れ!帰れ!かーえーれー!かーえーれー!

 

オオカミ

見た目よりもしっかりした子供達だ

これは作戦を考えないといけないなあ

うーん、そうだ、ハチミツ入りドリンクを飲んで喉を潤して~、

綺麗な声が出るようにしよう

それとのど飴を舐めて~っと、

発声練習!

よし、これでいい。

 

オオカミ

私の可愛い坊や達~、お母さん帰ったわよ~

ドアを開けて頂戴

 

ラミー

ドアの隙間から足を見せて頂戴

あれ?

 

ブルー

お母さんの足はそんな黒くて汚くないよー

 

オルリー

絶対にドアは開けないぞ

 

ルーク

そーだそーだ

 

オオカミ

クソー、足元見やがって。それにしてもなかなか手強いなぁ、なんとかせねば。

うーん、そうだ、パン屋に行って粉を盗んでこよう。

よっこらしょっと。そしてこの粉を足につけてっと。

これでどうだ

どっからどう見ても白くて綺麗な足になった。

これで子ヤギたち、みんな騙されるぞ

待ってろよー

 

 トントン

 

オオカミ

ただいま、お母さんよ。オオカミと違って、ほら、声が綺麗で、

白い足のお母さんよー

 

ラミー

あー、綺麗なお声。白くて綺麗な足。

 

フツ・ラム

お母さんだ

 

ドナ

わーい

 

オルリー

おかえりお母さん

 

ブルー

お土産沢山あるかな

 

ルーク

美味しいものを買ってきた?

 

ブルー

今、あけるよ

 

みんな

お母さんおかえ・・・

ぎゃーーーーー、オオカミだーーー

 

オオカミ

散々手こずらせやがって!逃げても無駄だ。一匹ずつ、俺様のお腹に入るんだ

 

みんな

わー、みんな逃―げーろー

 

ナレ

子供達はとてもすばしこく、部屋のあちこちに隠れました

一匹目はキッチンの棚衣

二匹目は机の下に

三匹目は暖炉の中

四匹目はベッドの下

五匹目はタンスの引き出しの中

六匹目はソファーの後ろへ

それぞれ隠れました

 

オオカミ

隠れても無駄だぞー、俺様はとても鼻が良いのだ。

そして今とても腹ペコなんだー

 

ナレ

ところが七匹目ののんびり屋のふっちゃんは、大きな古時計の中に隠れ、

くーくーと眠ってしまいました

オオカミは六匹も食べてお腹がいっぱいです

 

オオカミ

あー食った食った。重たくて歩くのも大変だなぁ。

ここらでひと休みするか。よいしょっと。あ~、木陰で気持ちがいいなー。

空は青いし、とてもいい天気だ・・・う~ん、お腹がいっぱいになったら、なんだか眠たくなってきた

ぐー、がー、ぐー、がー・・・

 

私の可愛い子供達。美味しいものをたくさん買ってきたわよ

あら、返事がないわ。

鍵が空いている・・・まさか・・・みんなー、どこにいるのー

ラミー?ブルー?ラム?悪い冗談はやめて頂戴

ドナ、オルリー、ルーク。フツー?

 

フツ

あれ?わたし眠っちゃってた

 

ふっちゃん、何があったの?お姉さんたちは?

 

フツ

お姉さん?あ、思い出した。お母さん、オオカミよ!

オオカミがお家に入ってきて、お姉さま、お兄さまたちを食べちゃったの。

 

まあ、なんてこと。大変なことになったわ。どうしましょ。

とにかくオオカミを探さないと

ふっちゃん、一緒に来られる?

 

フツ

うん

 

どうしましょ・・・どうしましょ・・・

 

フツ

お母さん、あれ見て。あの木の下。オオカミだよ。お家に入ってきた狼だよ

 

眠っているわね。あぁ、お腹が動いているわ。良かったわ、あの子たち、おなかの中で生きているわ。

ふっちゃん、お家からお裁縫道具を持ってきて頂戴。

 

フツ

お裁縫?お母さん何するの?

 

お母さんに良い考えがあるのよ

 

フツ

うん、わかった。とにかく取ってくる!

はぁ、はぁ。お母さんとってきたよー

 

ありがとう、ふっちゃん。じゃあ今からお姉さんたちを助けるわよ

 

フツ

うわー、お母さん、オオカミのお腹切っちゃって何するのー。うわー、うわー。

うっわーーー。

あ、お姉さまお兄さま!

 

ブルー、ドナ、オルリー、ルーク

お母さん怖かったよぉ。ありがとう

 

ラミー

お母さんごめんなさい

 

ラム

私たち狼に騙されてドアを・・・

 

あぁ、私の可愛い子供達。生きていてよかった

本当によかったわー、チュ、チュ

さぁ、みんな。できるだけ石を集めてきて頂戴

 

みんな

石?なんで?

 

お母さんの大切な子供達をこんな目に合わせたオオカミをこらしめてあげるのよ

さあ、早く

 

みんな

わかったあ

 

よいしょ。よいしょ。

こうして石を詰めて・・・チクチクチクと縫いあわせて・・・

はいできあがり。これで目覚めたオオカミはびっくりするわね。

さてみんな、おうちに帰りましょう

お母さんね、となり町で美味しいものをたくさん買ってきたのよ

今夜はご馳走にしましょう

 

ラミー

私ご飯作るのを手伝う

 

フツ

私も

 

ラム

今夜は何を作るの?

 

ルーク

僕も手伝うよ

 

ラム

あなたはいつも味見係でしょ

 

ルーク

なんだよー

 

みんな

あはははは~~~

 

オオカミ

お腹いっぱい食べ過ぎたせいで、なんだか消化不良だなぁ。

胃が重たい。これが胃もたれってやつか

しかもめちゃめちゃ喉が渇いた。川に水を飲みに行くか

よっこらせっと。

うわー、うっわー、なんだなんだ、なんだか体のバランスが取れないーー

 

ザブーン

 

俺は水が飲みたいだけなのに。これじゃあ溺れてしまう 

ぶくぶくぶくぶく

誰かー。ぶくぶく・・助けてくれー

 

ナレ

オオカミはバシャバシャと水の中でもがいていましたが、ついに力尽きてそのまま沈んでいきました

 

いいかい、みんな。お母さんが留守の時は決してドアを開けてはいけませんよ

 

こどもたち

お留守番の時はもう二度とドアを開けませーん

 

 

おしまい